円安の今、米国株への投資はすべき?止まらない円安と今後の市場動向を解説
ニュースで「円安・ドル高」といった言葉を見ない日がないほど、日本はいま円安の状況下に置かれています(2022年11月時点)。そうした中で、「円安はいつ収束するの?」「円安・ドル高の状況下で米国株とどう付き合えばいい?」「買い時はいつ?」などと悩んだり迷ったりしている方も多いでしょう。
結論から言えば、円安の今だからこそ短期的な利益にとらわれることなく、長期的なスタンスで投資に取り組むことが大切です。その際には、「国際分散投資」が重要なキーワードになるでしょう。今回の記事では、円安とその状況下における米国株との賢い付き合い方について解説していきます。
目次
止まらない円安と今後の動向
2022年10月20日の東京外国為替市場において、円相場が一時1ドル=150円台まで値下がりました。これは1990年8月以来、約32年ぶりの円安水準です。これに対し、円安によって物価上昇が進むなど、よくない見方をしている有識者も少なくありません。
今日に至るまで日本の円安が止まらない背景には複数の要因がありますが、その中でも以下の2つの要因についてご説明します。
- 貿易赤字の拡大
- 日本と海外各国との金利差の拡大
まず貿易赤字が円安に拍車をかける理由を簡単に説明すると、日本はエネルギーや食料品の多くを輸入に頼る「輸入大国」であることが挙げられます。輸入品の支払いは多くがドルによってやり取りされるため、円安が進めば進むほど多くの円をドルに両替しなければなりません。そのため、貿易赤字の拡大は円安を悪化させる要因になると言えるでしょう。
実際、日本では今年4月から9月までの期間において、すでに11兆75億円の赤字を記録。年度半期の赤字額としては、過去最高の数値となっています。
日本と海外各国との金利差の拡大については、米国やユーロ圏が積極的に利上げを実施している一方で、日本では金融緩和政策を続けています。こうした金融政策の違いによって金利差が拡大したことも、急激に円安が進んだ要因と考えられます。
9月29日~10月27日には、政府・日銀による為替介入(円買い・ドル売り)が行われました。しかしこちらは日本の単独介入であることに加え、投入できる資金に限度があることから、長期的な効果は見込みにくいでしょう。
いずれにせよ、今回の利上げは好景気が理由ではないため、今後の市場の動きには引き続き注意が必要です。
円安が投資に与える影響は?
現在の「円安ドル高」というのは文字通り、円の価値が安くドルが高い状態。つまり、米国株や米国の株式型投資信託に投資している方にとっては、円換算後のドル資産が上昇していることになります。そのため、現段階では評価額のプラスに寄与しているでしょう。
いま一度、為替と株価の関係を整理すると、以下のようになります。
この点を踏まえた上で、円安が米国株式や米国株投信に与える影響について解説します
米国株式および米国株投信のメリットとして、米ドルなどの外貨建てので株式を購入していることから、円安になると評価額が上昇する点が挙げられます。
とはいえ、現在の為替相場の水準で米国株へ新たに投資すべきかどうか悩んでいる人方も多いかも知れません。円安時に、米国株へ投資してしまうと、円高になった際に為替差損が発生するためです。
円安のいま、米国株に投資すると円高時に損をするワケ
ある米国株式(A社)の株価を40ドルと仮定し、1ドル=150円とする
→円建て評価額:40ドル×150円=6,000円
その後、A社の株価が45ドルに上がったとしても、1ドル=120円の円高に傾いた場合の評価額は次のようになる
→円建て評価額:45ドル×120円=5,400円
結果、為替差損によってマイナスになってしまう点には注意したい。
しかし、日銀が公表している「実質実効為替レート」を見ると、日本円の価値が近年下がり続けていることは明らかです。この円安傾向が続くかどうかは必ずしも明確ではありませんが、少なくとも円以外の通貨にも分散しておくことで資産価格が変動するリスクを分散する効果があります。
米国株式や米国株投信と上手に付き合うためには、足下の相場や目先の為替変動に一喜一憂することなく、時間分散投資の効果が期待できる積立投資をコツコツ続けていくことが大切です。
買い時はいつ?「円高×米国株高」に備えて考えたいこと
今は「円安・ドル高」の傾向にありますが、今後いつまでドルが強い状況が続くのかは予測できません。また、円高に逆転して米国株が下がれば、「円高×米国株高」になる可能性もゼロではないでしょう。
そうした状況に陥ったとき、米国一択のファンドに投資している場合には「為替ヘッジ」を検討する方もいるかもしれません。しかし、為替ヘッジはあくまで為替変動の影響を回避するための保険のような役割に過ぎず、円高の進行によって追加の利益が見込めるものではないことには注意が必要です。また、日米の短期金利差の拡大に伴って為替ヘッジコストが上昇している点にも留意しておくべきでしょう。
また、国際分散をしているファンドであれば、大きな割合を米国が占めている場合、その影響は把握しておくべきでしょう。セゾン投信で取り扱っている「セゾン資産形成の達人ファンド」で言えば、組み入れファンドの一部はドル建てで、円安がプラスに働くと考えられます。もちろん長期投資であれば目先の円安や円高にとらわれすぎず、広い視野で市場を見ることが大切です。
円安の今こそ長期的な視野で投資をしよう
ここまで円安における米国株と投資信託の付き合い方についてお伝えしましたが、円安の時でも長期的な視野で投資を行うとともに「国際分散投資」を心がけることが大切です。
為替市場での円安傾向を受け、外貨建ての資産に対する投資熱が高まっている方も多いでしょう。しかし、「短期の為替損益」にばかり気を取られてしまうと、万が一の際にリスクを負う事態にもなりかねません。
この先どの国が成長していくのかを正確に読むことは難しいですが、世界経済全体は長期的に見て拡大傾向にあります。そのため、国際分散投資に「長期」で取り組むことで、資産形成をより効率的に進めていけるでしょう。
前述した「セゾン資産形成の達人ファンド」では、数ある銘柄の中でも短期目線ではなく長期で成長していくことが期待できる企業を見つけ、投資を行っています。つみたてNISAの対象商品ともなっているので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。
長期投資の視点では、円安も気にしない!
今回の記事では、円安の状況下における米国株や投資信託との賢い付き合い方について解説しました。主要国による金融引き締め政策の影響もあり、世界で流通しているマネーは相対的に減少しています。よって、株式市場はしばらく不安定な状況が続くことが考えられますが、長期投資の視点では、目先のマーケットに翻弄されてはなりません。長期投資の三大原則「長期・積立・国際分散投資」を着実に実行することで、自分たちの大切な資産を成長させることが期待できます。
また、米国株式市場のマネーは今、GAFAやテスラなどの一部企業に集中しています。そうした中で、まだ他の投資家が気づいていない優良企業が隠れていることもまた事実でしょう。セゾン資産形成の達人ファンドは、優良企業を見つける「目利き」に期待できるファンドに投資しています。興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
セゾン投信では、資産に関する悩みやライフイベントにかかるお金の問題などにまつわる疑問・不安を解消するための「顧客本位の相談室」を設けています。各種セミナーやYouTube公式チャンネルでは長期・積立・国際分散投資などに役立つ情報を発信していますので、気になる方はぜひご覧ください。
ライタープロフィール
織瀬ゆり
元信託銀行員。AFP・ 2級FP技能士や宅建士、証券外務員1種、内部管理責任者、生保・損保募集人など、複数の金融・不動産資格を所持。それらの知識をもとに、「初心者にもわかりやすい執筆」を心がけている。2児の子育て中でもあり、子育て世帯向けの資産形成、女性向けのライフプラン記事を得意とする。